KanonSS 水瀬名雪

めざまし。

 

 

 …。
 ……。
 ………。
 うにゅ…。

 …。
 ……。
 ………。
 …う…ん?

 うぐ。
「ふぁ〜」
 …んんん。

 ……残念。
 今日も起きちゃったみたい。
 時計の針は、7時の15分前を指してる。

 うー…あと、10分だよ。
 10分…お布団にくるまって目をつぶってれば大丈夫だよね。
 あと10分…あと10分…。

 …。
 ……。
 ………。

 うー、寝れないよー。
 ちょっと前までは眠くてしょうがなかった時間なのに、最近は、どうしてか目が覚めちゃうんだよね。
 せっかく、祐一が起こしに来てくれるのに、勿体ないよ…。

 …。
 ……。
 ………。

 明日から、目覚ましをもう10分早くかけようかな…。
 そしたら、祐一ももう10分早く来てくれるもんね。
 来てくれないと…あの目覚まし、鳴っちゃうもん。

 …。
 ……。
 ………。

 そろそろかな?
 …少しくらい早くこないと、ひょっとしたら時計が進んでるかもしれないよ。
 鳴っちゃうよ、目覚まし…。

 …。
 ……。
 ………。

 あ、今、ドアの開く音がした。

 どんどんどんどんっ!
「名雪ーっ! 起きろーっ! 朝だぞーっ!」

 起きてないよ〜。
 起こしてくれないと起きないよ〜。
 早くしないと、あの目覚ましが鳴っちゃうよ〜。

 どんどんどんどんっ!
「早く起きろーっ! 遅刻するぞーっ!」

 うん。
 早く起きないと遅刻しちゃうよ。
 だから早く起こして、祐一…。

 がちゃっ。
「入るぞ、名雪」

 …祐一、そういうことは入る前に言うんだよ。

「おい、名雪! 起きろ!」
 ゆさゆさゆさ。

 ダメだよ、祐一。
 やっぱり、眠ってるお姫様を起こすには…ね?

「名雪!」
「…うにゅ」
「うにゅ、じゃない! 早く起きろ、名雪!」
「くー」
「くー、でもないっ!」

 うー、やっぱり祐一にそれを期待しちゃダメだよね。
 祐一、鈍いもんね…。

「うにゅ?」
「お、起きたか、名雪」
「………けろぴー」
「は? って、おい!?」

 寝ぼけたふりして、抱きついちゃう。

「けろぴー、好き」
「こら、寝ぼけんな! 俺はけろぴーじゃない!」
「くー」
「なーゆーきーっ!」

 くすっ。
 照れてる照れてる。
 あ、今、ちょっと笑っちゃったかな?
 でも、気付いてないよね。

「名雪ーっ! 頼むから起きてくれーっ!」
「うにゅ………あれ、祐一…?」
「起きたか? 名雪」
「ふぁ〜。おはようございまふ〜」
「…まだ微妙に寝ぼけてるな」
「………あれ? けろぴー」
「ベッドの上で寝てる」
「…けろぴー?」
「違う」
「…わたし、寝ぼけてた?」
「寝ぼけてた」
「ごめんね、朝、弱くて…」
「知ってる。知ってるから早くあの目覚まし止めてくれ」
「うん。ちょっと待ってね…」

 ベッドから降りて、机の引き出しの奥から目覚ましを出す。
 今日はそんなとこに隠してたのか、って祐一。
 隠してた訳じゃないよ。だって、こうしないと、祐一、目覚ましだけ止めて出てっちゃいそうで…。

「俺が起こしてやるからその目覚ましは使うなって言ってるだろ?」
「でも、それだと祐一が寝坊したときにわたしも起きれないよ」
「俺は寝坊したことなんてないぞ」
「それでも心配だよ」
「…別に、二人で寝過ごしたら一緒に遅刻していけばいいだろ」
「そんなことしたら、絶対香里に何か言われちゃうよ…」
「……保留だ、とりあえず。いいから、早く着替えて降りて来いよ」
「うん。わかったよ」

 ぱたん。
 ドアの向こうに祐一の背中が消える。

 …かちっ。
 そっと、手に持ったままの白い目覚まし時計のスイッチを入れる。

『名雪…』
『俺には、奇跡は起こせないけど…』
           ・
           ・
           ・

 うん…。

「なあ、名雪」
「なに?」
「どうして俺達は走ってるんだろな」
「そうだね。不思議、だね」
「……」
「あれ、どうしたの? 祐一」
「お前が二度寝するからだっ!」
「わっ! …びっくりしたよ」
「ったく…ほら、ペース上げるぞ」
「わっ、待ってよ、祐一〜」

 季節は、春。
 街中に桜の舞う春。

 春が過ぎて、夏になって、
 夏が過ぎて、秋になって、
 秋が過ぎて、また冬が来ても。

 わたしを起こしてくれるんだよね、祐一?
 わたしの…めざましさん♪

 

Von fernem Hier mit dem herzlichen Gebet.

 

 

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やっちまった〜っ! って感じですね(苦笑)

甘い…のかな? しかも、しつこい(苦笑)

名雪って、本編でも一番甘々な娘じゃないですか。 <いや、人によって意見は分かれるんでしょうけど

それに加えて、俺自身がかなりの甘党ですからね(笑)

そりゃ、激甘ワッフル(おい)くらいの甘さにもなるでしょう(爆)

 

実は、この話の仮題は"Hydra"だったんです。

なんでか、っていうと、Dir en greyのHydraを延々流しながら書いてたからです。 <安直

しかし…気に入ってるとはいえ、Hydraかけながら書くのはちょっと、って感じがします、我ながら(笑)

 

00/12/12 橘 和馬