blue snows

1月9日(前編)

 

 

 …。
 ……。
 ………。
 …がばっ。
 ………。
 ぼりぼりぼり。
 ……ふぁ…ふ。
「んん〜っ」
 伸び。
 ぐきぐきと背中が鳴る。
「今日はあたしの勝ちね…」
 目覚まし時計を人差し指で軽く弾きながら、独り言ちた。
 …今日も驚かされてみっともない声を上げる前に、さっさとスイッチを切ってしまう。
 そしたら、次は……。
「…の前に、まずは着替えた方がいいわね」
 正直あたしは服装には全くこだわらない。家からでない日なんかは、余裕で一日中パジャマのまま過ごしてたりする。
 ……もっとも、学校は制服だから、そもそもこだわるポイントなんて、下着くらいしかないんだろうけど。どちらにしろ、あたしには全然関係ない。
 …こんなんだから彼氏ができないんだ、とか母さんに言われた記憶もあるけど、関係ないと思うなぁ……。
「さて、それでは寝坊助の従弟殿を起こしにいきますか」
 さっさと制服に着替えると、鞄の中身(といっても、筆箱とルーズリーフしか入ってないんだけど)を確認して、言葉通り雪也を起こしにいく…。

 ・
 ・
 ・

「ところで、前から聞きたかったんだけど…」
「え? 何?」
 無事(…要は、昨日と同じ要領で雪也を叩き起こして)、朝食を摂って、外へ出る。
 やっぱり外は寒かった。
 …暖房費とか、馬鹿にならないんだろうなぁ……。
「薫くん以外の誰かに、あたしと雪也が従姉弟だって話した?」
「うん。話したよ」
「誰に?」
「みんな」
 …一瞬、頭の中が真っ白になった。
「……誰に?」
「みんなに」
「みんなって誰?」
「クラスのみんなと、部活のみんなと、友達のみんな」
 ……一瞬、目眩さえした。
「聞きたくないけど、聞いていい?」
「いいよ」
「人数にすると何人くらい?」
「う〜ん……数え切れないよ…」
 ………一瞬、本気で転校したくなった。
「あれ? どしたの、ゆーこちゃん?」
「…別に」
 本当に、"別に"。
 何か問題がある訳じゃないんだけど、あたしはそういう、"誰かの何か"という先入観を持たれるのが嫌いなのよ。たとえば、"修平(兄貴の名前ね)の妹"とか、"葵(母さんの名前、ね)の娘"とか。
 誰かの付属品みたいな呼ばれ方をするのが大嫌いな訳よ……ま、兄貴の言葉を借りるなら、自己顕示欲が強いそうだ。あたしは。
 …ま、いいわ。あたしがどうこう考えたところで、他の人の記憶を飛ばせる訳でも、先入観を拭える訳でもないんだし。
「…さ。行くわよ、雪也」
「行くって…どこに?」
「……あんた、それ本気で言ってる?」
「勿論冗談だよ」
「………どこに行くの?」
「回覧板回しに」
 わしわしわしっ!
「わひゃぁっ!? な、な、何するのさっ、ゆーこちゃんっ!?」
「どつき漫才」
「どつき漫才って、ハリセン持ってやる奴じゃないの?」
「そうよ、ホントはね」
「じゃあ、どつき漫才じゃないんじゃない?」
「いいのよ…それとも、ハリセンでどつかれたい?」
「…う〜、遠慮する……」
「よろしい」
 …何が哀しくて、従弟相手に朝っぱらから漫才しなきゃならないんだろう。
「さ、行くわよ、雪也」
「うん、行くよ〜」
「回覧板は回さないわよ」
「…う〜」
 ……そんなに回覧板が回したいんだろうか、この子は。
「回覧板は帰ってきてからあたしが回しといてあげるから。ね」
「う〜、判ったよ……ゆーこちゃん、急ごう!」
「えっ? …どうしたのよ、急に?」
「涙を呑んで回覧板を諦めたんだから、これで遅刻したら僕が可哀想すぎるよ」
「…そりゃ、まぁ、そうかも知れないけど」
「ゆーこちゃん、遅いよっ!」
「あ、ちょっと、いきなり走り出さないでよっ!」

 ……別に、歩いたって遅刻するような時間じゃなかったのに、結局あたしたちは十数分間に及ぶランニングをする羽目に遭った。
 …けれど、それは、また、別の話……かも知れない。

 

Fortsetzung folgt.

 

 

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あの制服、ケープでしたね…(汗) <大馬鹿ど忘れ

青雪もSSも、最近煮詰まっています。

本業の方も忙しくなってきたし…バイトやってる場合じゃないかな?

 

なぁんて、バイト先で泊まり仕事中にSS書きながら言う台詞じゃないですね(苦笑)

 

01/8/26  橘 和馬